もし、きみにめざすべき場所があり、
そこにたどりつくためのルートがわからない、としよう。
マホラの旅人たちにとって、それほどうれしいことはない。
それこそがマホロンたちが「旅」に望み、設定していることなのだ。
かれらは焦燥にかられたりはしない。
なにしろ、マホロンに与えられている時間は事実上、無限だからだ。
だから最短ルートを採る必要もない。
どれだけ遠回りしても、だれにも迷惑をかけたりしない。
永遠の別れを誓ったつもりのひとと、なんども再会したりもする。
思いもかけない場所で、思いがけないひとと…
マホロンたちが夢の中で目撃することになる時間地図には
それらの出会いが克明に記されていたりする。
マホラはそれほどふしぎな空間に存在しているのだ。