さしものオービアといえども、この状況で完全な円を描くのはむつかしい。

いま、ブシャラの見ている角度を計算に入れて、微調整。

これでどうだ、といわんばかりにオービアは真円を顕示する。

ブシャラはなにもいわない。

かれの、そのまなざしはおだやかだが、オービアにはわかっている。

ブシャラはオービアの心の曲率を測っているのだ。

なんびともブシャラの前ではかくしごとはできない。

オービアの円。

それが、風も吹かないこのような日にたわみはじめるとは。

オービアは観念した。