さて、わたしたちはある一つの方針のもとに、これらアダマール行列(4×4)の3乗根体(+)の全48種類のカテゴライズをおしすすめている最中である。
ふりかえっておくと、各3乗根体(+)には、自らを180度回転変換したフォルムをもつペアが存在する。さらにそのようなペアたちが四つ組となって、計六つのグループを形成していることが、これまでのところ明らかになっている。大事なポイントは、その際、各グループを結束させているのが、わたしたちがよく知るところの、これらの格子柄。
さよう。言い換えれば、3乗根体の0–180度回転ペア同士は、アダマール積結合により正負反転体のいずれかへと姿を一変させる。
いや、ペア間の結束を甘くみてはならない。
これら四種類の柄はさらに別の姿へと集約されるようである。
なにがいいたいのか?
まずはこれを観てほしい。
どうだ。
このグループに属するペアたちは、すべて無地の柄へと帰す。
たんなる偶然とお思いか?
ならば、こちらのグループについてもチェックしてみてほしい。
かれらが無地の柄へと帰ってゆくプロセスには二種の積(行列積とアダマール積)が使われており、一見、煩雑に感ぜられるかもしれない。が、解剖して、図解するとこうだ。
理解に至れば、いたってシンプル。
そして、それゆえに、これらの複合演算の結果が異なるペア間で共有されるという事実は、よけいに不思議。
いや、すべてのアダマール四連積が無地になるわけではない。
パターンは、もう一つある。それが……
あらわれたのは、われらがマリス/タリス型。
またの名を正負反転体❷型。先の無地を❶型と解釈しなおせば、
さよう。わたしちが見ているのは、まさにこの二つの柄。じつのところ、3乗根体(+)の六つのグループは、このようなアダマール四連積により、これら❶型or❷型に還元されてしまうようなのである。
ほんとうか?
実際に残りのグループたちが❶型と❷型のどちらを選ぶか、この目でたしかめてみることにしよう。
選ばれたのは、いずれも❷型。
なぜなのか? しかとはわからないが、ここで見ていることを正負反転体同士の関係として表現しなおせば、
いったい何が起きているのか。少なくともアダマール行列(4×4)3乗根体と正負反転体とが、見えない糸でつながっている可能性はもはや疑いようがないように思われる。
次章では、この謎に対し、徹底的な精査をこころみることにする。