おや、すらりとした二本の長い足。そこにゆくのはコンパス氏? どーなさいましたか、うかない顔をされて。
ははあ∙∙∙。さいきんいいぐるぐるをさせてもらってない? あなたほどの生真面目な紳士にとっては、かなりなストレスでしょーね。お察しますよ。
おおそうだ。
わたしはこの星の時計盤の描像を内緒で持ち帰ろうかと考えておったのです。
ここは、おひとつよろしく。
そーですね。じつは正12角形のシンプル版はもう手に入れました、せっかくですからここは正60角形バージョンをお願いしましょう。ほら、こんなやつです。
ちょっ、やったことないって? ご冗談でしょ∙∙∙。この星にはあんなにもたくさんの時計盤であふれかえっているではないですか?
えーっ、正60角形どころか、コンパス氏。あなた、正12角形も作図した経験がない? まって、まって。では正10角形は∙∙∙?
ウブだなんてだれも∙∙∙。おっと、おっとっと! あぶないですって。いやはや、これは失礼∙∙。あなたの高すぎるプライド、うっかり忘れていました。
ふふん。承知しました。なるほどなるほど。かるい記憶障害ですな。
わたしが、いいところに連れてってさしあげましょう。きっと、きれいにサビを落としてもらえますよ。