なにからはじめるべきか。
まずはこれを見ていただきたい。
なんの変哲もない正方格子。
その中に1から16までの数がならんでいるだけ。
たしかにそうだ。
わたしの瞳にもそのように映る。はたして、この超格子体の精緻で高度な構造を知る者は少ない。あなたがたも一蹴する気になったはずだ。
なんの話をしているのか?
この構造が、わたしたちの星で長らく見過ごされてきた理由だ。
いや、前置きをしている暇はない。まずはこれを。
どうであろう。
正方格子が相愛数の住み処となっているだって? わたしは、この事実を発見したとき、驚天した。永年、わたしは相愛数の謎を追ってきた。相愛数たちのおりなす美しい関係性にたちまち虜にされたのだ。
さて、わたしがはじめて相愛数の存在を見い出したのは、循環小数のサイクルをめぐり、その周期性の不可解な挙動を研究しているときのことだった。それはまさに、ひょんな出会いだった。そのことも、おいおい話そう。いまはただふしぎな時計盤における盤面の数の配置と相愛数が浅からぬ関係でむすばれているというにとどめておきたい。
ふたたび、この正方格子にもどろう。
色分けされた二つの数の組。その対称性は美事だ。一方を以下のような中心軸で180度回転させれば、もう一方に移る。
これらは4つと4つの数の組であるので、4–4相愛数と呼ぶことにする。ここで疑問がさしはさまれるかもしれない。なれば3–3相愛数、5–5相愛数あるいは6–6相愛数などというものも存在しているのか、と。
いまの段階では相愛数というのは無辺に拡張しうる概念であり、そのような相愛数もまた存在しうる、というにとどめておこう。ただし、相愛数は偶数系と奇数系で、つまり(2n)–(2n)相愛数と(2n−1)–(2n-1)相愛数とで、そのはたらきに差異が生じているということもつけくわえておきたい。
わたしたちが当面とりあげるのは(2n)-(2n)相愛数でありり、この系の相愛数の定義は、それぞれ異なる種類の自然数で構成される二つの数の組において、1乗数から3乗数までの数の総和が一致するということだ。
4-4相愛数でいうならば、
このような条件をみたすものであれば、相愛数の資格は充分にみたしている。とはいえ、条件を知ったからといって、相愛数を探すことは存外むつかしいということにすぐ気づくはずだ。この星の従来の数学では、そもそも相愛数を導くメソッドが存在していない。太古よりよく知られた試行錯誤という力技、あるいはコンピュータ計算の手にゆだねるか∙∙∙。
じつのところ相愛数は無限に存在している。
直感に反するかもしれないが、不自然なほど濃密に存在している。なぜなのか? 超格子の構造自体がそれを可能ならしめている。なぜなのか? その理由をわたしは知りたいのだ。おそらく高次元の幾何学的な背景がそこにはあるだろう。いや、先を急ぎすぎるのはよくない。わたしたちはともに粘り強く行こう。
超格子の場の力の話をする前に、伝えておきたいことがある。そうなのだ。わたしは長いあいだ見逃していた。数の世界に相思数が存在していることを∙∙∙。
発見のいきさつはここでは述べない。わたしの発見の多くは、気まぐれ心をきっかけにしたものであり、ほとんどの場合、正当なプロセスを経ていない。それゆえ、発見したときの出会い頭感、衝撃ははかりしれない。この事実を知るにいたっても、わたしは心底、数の世界に畏怖した。なぜ、このような完全な配置が存在しうるのか。
相思数。それは反転した相愛数とでもいうべきもの。まさに相愛数と相思数は対になる概念だ。相愛数とどうよう、相思数においても対称の美は少しもそこなわれていない。下記のような軸を中心に回転させることによって、一方が一方に移る。
さて、相愛数においては1乗数から3乗数までの数の総和の一致が条件であった。それでは相思数の成立条件はどのようなものになろうか。
これら二つをじっくり眺めてみよう。
相愛数で使われている演算子はすべて+であるが、相思数では−と+が交互にあらわれていることがみてとれる。それゆえ、相思数の場合、a,b,c,d あるいは、e,f,g,h 内における数の順序というものが考慮されることになる。わかるだろうか? 相愛数の場合、単なる総和であるので a と b を交換しても等式に支障はきたすことはないが、相思数では安易にa と b をとりかえると等式自体が成り立たなくなる事態が生ずる。その意味で、相思数の特定は相愛数の特定にくらべ、はるかに厄介なものとなろう。
さて、相思数の中にあらわれる、この −,+,− とはいったいどこから来たのかと訝しむ向きもあるかもしれない。その詳細はじょじょに明らかとなってゆくだろう。まさしくこれはわたしたちがマーの呼吸と呼んでいるものであり、その一部のあらわれと思われるのだ。一方、相愛数に対応しているのがアーの呼吸。このページに関してはなるべく独自の用語を使いたくはなかったのだが、説明のために要するのカロリーの軽減のためにやむをえなくこの二つの概念だけは用いることにしよう。
これで超格子体の内部に組みこまれた相愛数と相思数の存在をわたしたちは知るにいたった。ここに登場している数は特異なものではなく1から16といういずれもなじみ深い数たちである。そして、相愛数、相思数として選ばれたのは、2,3,5,8,9,12,14,15という八つの数。だれしもがこう訊ねたくなる。これらの数は、無限に存在する自然数の中で特別な地位を天賦されているのだろうか?
いいやそうではない。
ここでさらに驚くべき事実を伝えなくてはならない。
さてわたしたちは数のことについて何も知らないことを知った。それはけっして不幸なことではないはずだ。手つかずの探求の地が、未開の地平が切り拓かれ、わたしたちに向かって両手をいっぱいに広げてくれているのだ。これほどワクワクすることはない。
さっそく、わたしたちはこの超格子体の謎にとりくんでいくことにしよう。
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