さて、前章でこれら準–正負反転体らによる謎の5連5乗の法を見せつけられたわたしたちである。あるいは、準–正負反転体は、〝準〟と銘打たれているものの、正負反転体よりも出来る子なのでは、思いはじめている者さえいるかもしれない。
というわけで今回は十番勝負である。
正負反転体VS準–正負反転体。両者は共通する性質として、類稀なる0消失力を有していることは想像にかたくない。はたしてそのパワーがいかほどのものなのか、ここはじっくり見物してやろうという魂胆である。
まずは基本中の基本。
このオール<1>格子体を相手に力くらべてといこう。
先にいくのはどっちだ?
おっと、準–正負反転体が身を乗り出してきたぞ……
なるほど。これくらいはチョロいというわけか。もちろん、かれらにはオール<1>格子体のみならず、あらゆるオール<a>格子体に対して0消失力を及ぼすことができる。
が、この事実を目にしても、正負反転体らはいっこう気にする気配もない。
見よ、かれらはそろって不敵な笑みさえ浮かべている。
あの余裕のかましっぷりから察するに……
かれらにも同じことができるということか!?
おっと、正負反転体の中から、いくつかの格子体が飛び出してきたぞ。
見守ることにしよう。
こっ、これは……。
わたしたちは、さらにもまして強力な0消失力をわたしたちは目の当たりにしている。
この選抜された9人の正負反転体たち。
かれらは、オール<a>格子体に対して、左側から攻めても、右側から攻めても消失力を発揮する。
このような芸当は準–正負反転体らには、けっして真似ができない。
かれらはオール<1>格子体に右側から攻められると、もはや消失力を発揮することはできない。
弱点が露呈してしまった……。
さて、上記の動画に登場しなかった正負反転体グループの残りのメンバー。
じつは、かれらも同様に片側に弱点を持ち、一方のサイドからしかオール<1>格子体を消すことができない。
というわけで、この勝負の軍配は……。
総合力で、正負反転体チームのWIN。
おっとー。このジャッジに納得がいかないのか、準–正負反転体からクレームが入った。正負反転体チームはなにしろ大所帯。一方、自分たちは、たった四人で戦っているというのである。それになによりも、正負反転体らはグループ内で力の統一がはかれていない。くらべ、自分たちは同じ力を仲良く共有している。チームワークは抜群だ、と。
もっともである。
では、勝敗はいったん保留し、ここに新たな獲物を用意しよう。
言わずと知れたプレーン超格子体。
見事、これを消してみよ、というのである。
オール<a>格子体の場合と比して、いっきょに難易度は高くなる。
もちろん、先にギブアップした方が負けである。
この新たな提案に、準–正負反転体も正負反転体も完全に沈黙。
いや、どうやって攻略すべきか、思案しているのかもしれない。
先に仕掛けてきたのは……
必殺交互積。よくぞ、思いついたものだ……。しかも、チーム内でメンバーの力にまったくばらつきがない、という点も高ポイント。かれらが主張するところによると、消し去ることができる格子体には奇数を入れてもとくに問題はない、という。
驚愕の事実。
正負反転体の顔色をなからしむることまちがいなし。
と思いきや。おや、どうもそうでもないらしい。
そう、かれらの中には、まったく同じことをやってのける強者たちがいる。
これを見て、黙ってはいられない正負反転体たち。
先のパターンとは違う。
積の順序が入れ替わっている。
いや、背後に控えている正負反転体の中にはあくびをしている者も。かれらにしてみれば、そんなやり方は、まどろっこしいというのだ。
なんたる奇妙。
交互積の長さが縮まった。
これで終わりではない。
間髪入れずに、残りの正負反転体らが飛び出す。とどめをさす、とでもいうかのように。
痛快である。
じつに6種もの正負反転体らが最短の交互積で0消失を成し遂げる。
0消失力の不思議。
これらの結果、諸君らはどうジャッジする?