さて、バボアン小格子体全24種の中から、今回はとくにこの9種類をピックアップしたい。
以前の章で述べたが、これらはその名の通り、いずれも2乗することにより、はじめて単位行列になるものたちである。
Aグループから3つ、Bグループから6つ。
さしあたり、わたしたちの印象としては、
「バランスがどう見ても不均衡。」
「Bグループばかりズルイ。」
「えこひいきしている。Aグループが可哀想。」
そのような声があがるもムリはない。
が、ちょっと待っていただきたい。
そう感じるのは、素人の浅はかさ。
……なのかも知れないということについて熱弁をふるってみたいと思っている。
どういうことか。
じつは、この領域で、AB混合チームの主導的役割をはたしているのが、Aグループ④⑨⑫型の三体であると考えられるのである。
どういうことか。
さっそくだが、これを観ていただきたい。
どうだろう。
かれらが美しい三角形によって結ばれているという事実。
ちなみに動画では時計回りの巡回が紹介されていたが、これを逆向きにしても2連積巡回性は保たれる。
あたりまえのことを言っているように聴こえるかもしれないが、〝行列の積〟という演算においては一般的にA×B=B×Aであることはかならずしも約束されない。
このような事情を踏まえると、巡回三角形の強固さはより稀有なものとして、より完全なものとして、わたしたちの目に映る。
では、ここでBグループに登場していただこう。
かれらにAグループがなしたような2連積巡回三角形をつくることができるか?
結論から言おう。
残念ながらかれらには、巡回三角形を構成する能力がない。
いや、ここは精確に述べなくてはならないところだ。
かれら自身だけでは、かれらは巡回三角形をつくることができない。
なにがいいたいかわからない?
たとえば、この⑬型と⑯型。
じっさいにかれらに直接、語ってもらうがはやい。
注意深く見守ってくれたまえ。
どうだ。かれらは、Aグループの④型の力を借りて巡回三角形を構成することができる。しかも、この三角形も時計回り、反時計回りを問わず、2連積巡回を実現する。
まだ、このような三角形はほかにあるか?
ある!!
これでBグループのすべての構成メンバーもあますところなく三角形に組み込まれた。いったいわたしたちは何を見ているのか。構図の全体を俯瞰すれば、
Aグループの三体を通して、すべてのバボアン小格子2乗根体は連結させることができるという事実。
なんという構造の妙。
美しい。
ただそれだけである。