さて、わたしたちは渦周回格子体を経由して四種の6–6相愛数(❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)の入手に成功した。
たしかにそれぞれの6–6相愛数(❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)は異なる数から構成されている。が、はたしてこれを〝四種〟と見てよいものか、わたしには断言するに躊躇したい心がある。
どうしてか? まあ、ここは一つ、じっくりつきあっていただきたい。じつのところ、これら6–6相愛数(❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)はコンパクト化できる。ここでいう〝コンパクト化〟というのは、12個の数たちをそれよりも小さい自然数に置き換えることである。そして、12数の全総和がもっとも小さくなるようにコンパクト化することを〝最小コンパクト化〟という。
一例をお見せするのは早いだろう。
❶の6–6相愛数(❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)を対象としてこれを〝最小コンパクト化〟してみる。
やり方はいろいろあるだろう。
まずこれらはすべて2の倍数になので、2で割ってしまう。
これだけで半分のサイズになった。
ここからごそっと510という塊をとりのぞく。なぜ、510という数を用いるかというと、511といういちばん小さい数に着目し、これが1になるようにしたいからだ。
こらんの通り、これが6–6相愛数(❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎)❶の最小コンパクト化された姿である。こうなれば、すべての構成数を8×8のプレーン超格子体の中におさめてしまうこともできる。
コンパクト化してゆくプロセスは、一通りではない。
❷の場合は、わたしならこうする。
まずは12数すべてが偶数であるので2で割ってしまおう。
さて、ここからごっそり塊をとりのぞいてしまえばいいと思いがちだが、さらに工夫が要るところである。というのも、こうしてすべての数に1をくわえると、
どうだろう、すべてが偶数。ということはまた2で割れる。サイズを半分にできるのは大きい。が、これで満足してはいけない。さらに同じ手順をもう一度、くりかえすことができることに気づく。
これでよし。
ここかから最小数が1になるように、とりのぞく塊に111という数をえらぶ。
最小コンパクト化成功である。
ちょっとしたゲームのようなものである。またここで使うテクニックは、完全相愛数左右対称陣をつくるときにも有用であるのでマスターしておいて損はない。
ということで、こんどは❸でやってみよう。
やはりすべてが偶数なので、まずは2で割る。
すべてが奇数になったので、1をくわえれば、偶数のかたちになる。いや、ラッキーなことにここにあらわれる数は4の倍数。ならば4で割ってしまおう。
あとは、大きな塊をとりのぞけばよいだけ。
だいぶ、手順がのみこめてきたであろう。
最後は❹。
ここでも12数は偶数なので、すべてを2で割る。
すると、あられる数は偶数と奇数の混在。なので、1をくわえてすべてを偶数にするというテクはここではもう使えない。あるいは、これら12数に同数xをくわえてyの倍数になる可能性があれば、それをもとに、+x→÷yという同手順を施行してゆくことが求められる。
が、ここでは583、585という二数に着目し、二つの数の差が2しか離れていないことから、同数xをくわえて2以上の倍数になることは望めないことが自明であるので、可能性は排除してよいだろう。なのであとはごっそり塊をとりのぞくだけ。
さて、諸君らは気づかれただろうか?
慣れないコンパクト化という操作にいそしむあまり、それらの結果をまじまじと見つめる暇がなかったが、なんとわたしたちが手に入れたものは、
そうなのだ。
すべては同一の骨格。
新たなる驚異がわたしたちを襲うのである。