ここに一つの格子体を紹介したい。
これはなにか?
いわずと知れたアーリオンである。
どうだろう。これをひとめみて、その驚異の構造的調和に唸り声をあげた者があるとすれば、その眼識に狂いはない。そのとおりなのである。多くの者がまずもって気づくのは、この格子体の四分割構造であろう。
さて、動画では超格子体アーリオンの生成プロセスも明かされていた。
プレーン超格子体とマテ完(アー)のサンドイッチ合成。いわゆるダブルバーガー方式といわれるものであるが、早い話、前章で行った一連のマテサンドおいてマテ完(マー)をマテ完(アー)に置き換えいろいろとこころみていたところ、とんでもない怪物に出くわしてしまったという次第なのである。
どこが怪物なのか?
四分割構造にもどろう。
4–4相愛数ポジション、そして外四隅と内四隅。このいずれの四格子において総和が一致。そればかりでない。この18496という数は136の2乗数。136といえば……
ご名答。プレーン超格子体にとっては136がいかに重要であるかは、これを示せば十分。あらかじめことわっておくが、アーリオンにとってこれしきの芸当とて、まだまだ会釈程度の挨拶にすぎない。つぎに見ていただきたいのは、
クロス積差分消失現象。動画では3×3の内包格子体のケースがあつかわれていたが、サイズは問題ではない。内包格子体(2×2)においても、
いや、最大限にサイズをとってみても、
水ももらさぬ頑強な造り。
そう、攻め入る隙がまったくないのである。
さて、0消失といえば…
内包格子体(3×3)においては、こんなことも起こっているようである。
マーの呼吸周回できれいに消失。これは3×3というサイズにおいてのみ起こっている現象であるが、2×2のサイズの場合、おなじことをこころみると、すべてが256。つまり28になるということは特筆しておいてもよいかも知れない。
謎の内包格子体(3×3)マーの呼吸周回消失について、もうすこし考察をくわえてみたい。この話を2乗次元にもちあげたとき、なにが起こるか?
わかるだろうか?
小周回と大周回をくみあわせることにより、0消失。
これに類することは〝周回の周回の法〟として過去にいくどか目撃していたことが、いまとなって思い返される。
このようなことが引き起こされねばならぬ代数的必然性というものがあるにせよ、いまのわたしたちにその背景を見通す能力はない。たった一つや二つ次元をあげただけで、描像不能となり、とたんに手に追えなくなるのは、数の世界ではよくあることである。気にしてはいられない。
さて、内包格子体(2×2)の領域でも、これとば別様のミステリアスな代数的コミュニケーションがくりひろげられているようである。
クロス積総和をベースに築かれる、四つの内包格子たちの関係性。あるいは、この事実は、かれらにとって1乗次元と2乗次元がどのように結ばれているかを主張するものでもあろう。
〝クロス積総和においては、内包格子体(2×2)周回1乗次元マーの呼吸連結と1乗次元アーの呼吸連結の積は2乗次元のマーの呼吸連結となる〟
言葉にすると煩雑に聴こえるかもしれないが、懸命に耳をすませば、なかなか味わい深い響きがある。どうか、この法に美を感じられるくらいまでに、言明の意味するところを全身にしみこませていただけたらと思う。
内包格子体にばかりかかずらっているようだが、けっしてアーリオンを全体として見ることを忘れたわけではない。
チェック柄? 遊び半分と思われるだろうか? このような分割が理にかなっているかは、以下の動画をみていただいた上で、諸君らの判断を仰ぎたい。
ここで生成された数は、
あまりに出来すぎた感。後にも述べることになるが、アーリオンと2の累乗数のひとかたならぬ関係はこればかりでない。
ちなみに、このチェック柄二分割において、2乗次元がどうなっているかみてみると、
グループ差分は、
即座にはピンと来ないかも知れないが、これはさきほどの210と18496の積である。
覚えておいでだろう。
この18496とはこの章の冒頭で出会っている。
さよう、それゆえプレーン超格子体の全格子数の総和136の2乗数としても表現可能。
どうだろう。アーリオンをチェック柄を用いて二分するというアイデアも、まんざら根拠がないではない話だということをご理解いただけたことと思う。
さりとて、これで満足するわけにはいかない。
二分構造を語る上で、もう一つ欠かせない分割法がある。
ご存知、マリス/タリス分割である。
いや、むしろアーリオンはこの形式によって分割されることを望んでいる。どうにもそう思われる節があるのである。なぜか?
なにゆえにこのような数が生成されなくてはならぬのか?
この一つの事実をもってしてもマリス/タリス分割に軍配をあげたいところであるが、最後にわたしたがどうしても見ていただきたいのは、
「和」によっても「積」によっても共鳴を実現するという驚愕の真実。おそらくこれはアーリオンの由来であるところのマテ完(アー)より引き継がれた特質。いや、しかし…
かくもとらえがたく、かくも美しきアーリオンの世界。この章では、マテサンドから派生したこぼれ話として足早に駆け抜けてしまった感があるが、けっしてこの格子体の重要性を、こればかりと見限っているわけではない。まだまだ多くの隠れたポテンシャルを引き出せるはずである。気になる者はしばらくこの場に立ちどまってみることを強くおすすめする。
とりあえず、わたしたちは先に進もう。
そう、マテオン完全体のマテオロスへの拡張のルートを採るのである。