バボアン。そこは、さまざまな種類の対称性が交叉する幾何空間。前章にひきつづき、わたしたちはこの驚異の内部構造を明らめるためにさらに深く踏みこんでゆく。
これらはなにか?
バボアン細胞(2×2)の位置を特定するために用いる特殊フィルターとでも思っていただきたい。
今回はバボアンをこのサイズに切り分けたとき、そこでなにが起きているかということを詳細に見ていくことにする。まずはバボアン細胞❶からはじめよう。
バボアン構造におけるこの位置を浮かびあがらせると、
意外なことに、両グループにおける同位置においてパターン(柄)はまったく同一。
つまり、ここでは二つのグループ間で累乗総和系、総積系を問わず、無限の相愛力が働いているということである。同じことはバボアン細胞❷や❸についてもいえる。
これはいったいどういうことなのか。
いままで、うかつにも気づかずにいたが、バボアン構造の上半体は両グループで同じパターン(柄)を有しているということである。
では下半体はどうなっているのか?
バボアン細胞❹から見てみる。
バボアンにおけるこの位置にフォーカスすると、
一見すると無秩序に見えるが、並べ替えてやることにより、両グループ間でやはりパターン(柄)の共有がなされていることがわかる。
つぎにバボアン細胞❺に移ろう。
ごらんのとおり、これはバボアンにおける中心にあたる。
このエリアを切り取ってみると、
どうかじっくり両グループを見くらべてもらいたい。A型にあらわれる、あるパターン(柄)は、かならずB型の中でも見つけられるはずだ。
大変興味深いことに、二つのグループ間におけるこのようなペアリングは、これ以降のバボアン細胞❻❼❽❾においても起こりうる。
ここまで見ると、お気づきの者もあるだろう。バボアン細胞❶❷❸❹❺❻❼❽❾においてあらわれるパターン(柄)は、両グループ間で同じ構成になっている。わかりやすく、パターン(柄)ごとにカテゴライズすれば、
つまり、バボアンからどの小細胞(2×2)を切り取っても、A型–B型間は相愛力∞で結ばれるということである。この事実は格子体の形を問わない。プレーン超格子体やマテオロスにかぎらず、あらゆる任意の格子体(4×4)を対象にして言いうることである。
絶妙というにはあまりに絶妙な構造である。