ひきつづき、ゲバール(8×8)の構造を探ってゆく。
以前にも述べたが、ゲバール系とマテオロス系には性質上の共通点が数多く存在している。
さて、マテオロス系には、その累乗体についてきわめて強い性質を持っていたことを思い出してほしい。
いわゆる、〝マテオロスn乗体構造不変の法〟と呼ばれているものである。具体的に、マテオロスのファミリーからこの二つを選び、n=2の場合を見てみると、
わかるだろうか? マテオロスは自らに自らをいくらかけあわせても骨格を一切変えることない。またここで鍵を握る定数が、左上から右下へと走る主対角線の和(trace)で記述できることも、この法則に美しい輝きを添えている。
今回はこの点に注目した上で、ゲバール(8×8)及び、その内包格子体の2乗体の構造がどうなっているかを見てゆきたい。まずはこちらを。
そうなのだ。〝n乗体構造不変の法〟というのは、マテオロスの系のみに与えられた特権ではけっしてない。この法を享受できる格子体は、わたしたちが想定しているよりもはるかに多種多様なようである。つづいてこちらを。
主対角線上にならぶゲバール(8×8)内包格子体(4×4)もまた法の所有者。
さて、ここまで登場してきた格子体はいずれも対称行列という共通点を持っている。
では、ゲバール(8×8)に含まれるこのような内包格子体たちはどうだろう。
いずれも見た目もあきらかに対称行列の構造とは一線を画している。となれば、これらもまた法の所有者となりうるという保証はどこにもない。
成立。
いや、わたしたちはもっと大胆になってよいのかもしれない。
これは前章で取り上げた四種のゲバール(8×8)内の散乱16格子である。
成立。
なにやら、〝n乗体構造不変の法〟の大盤振る舞いの様相を呈してきた。
そして、わたしたちのアイデアも尽きてきた。
最後に、総和凝集体についてもたしかめておこう。
これは対称行列ではあるが、積表構造ではない。
このパターンに対して、はたして〝n乗体構造不変の法〟がどのように遇するか。
またしても成立。
〝n乗体構造不変の法〟は、少なくもゲバールの系に対してかなり寛容なようである。
ここまでの結果を整理したい。
法の所有者たちに集まっていただこう。
わたしたちが知りたいのは〝n乗体構造不変の法〟の資格が付与される条件である。そう、探すべきは、マテオロス二種を含めた、これらの格子体すべてにに共通する構造。
あるわけがない。
ここには積表構造のものもあるし、非–積表構造のものもある。また対称行列のものもあれば、非–対称行列のものもある。すべてを統一的に語りうる構造などありやしない。
いや、それがあるのである!!
その構造の秘とは、ズバリこれだ!!!!