さて、ふりかえっておこう。
わたしたちは、これらアダマール行列3乗根体全96種のグループ分けに取り組んでいるところだ。
ここまではいい感じに、きわめていい感じに事は運んでいる。というのも、正負反転体❶~⓰型を変換行列として用いることによって、いともたやすくアダマール行列3乗根体らを各グループにまとめることができると気づいたからだ。
これまでにわたしたちが見いだしたのは、この四つのグループ。
いわゆる〝正負反転体❶~⓰型対応アダマール行列3乗根体グループ〟というやつだ。
予定では、あと二つのグループを確定させ、心をスッキリさせたいところであるが、順風満帆なのもここまで。道半ばにして、わたしたちは一つの壁にブチあたることになる。
どういうことか?
未分類の3乗根体から、たとえばこの格子体を選んでみることとしよう。
これを正負反転体❶~⓰型によってアダマール積変換をすると、
これまでの流れだと、ここに生成されている16種類の合成格子体は、いずれもアダマール行列3乗根体となるはずだ。なってくれるはず。はず? なに? ちがうのか。ここは少しく説明の要するところだ。詳細に述べてみる。
最初の四つに関しては、生成されるのは、たしかに3乗根体(+)。
かれらが位置しているのは、ここ。
が、ここからが大問題。
正負反転体❺~⓰型らによって変換された格子体が、3乗根体(-)へと飛んでいってほしいものであるが、かれらの行き先はいずれも……
わかるだろうか?
正負反転体変換によって、これらはすべて6乗根体(-)の世界へと逃げてしまうのである。(※6乗根体とは、6乗してはじめて単位行列×aのかたちになるものである)
12個の変換格子体が揃いも揃って、6乗根体(-)世界へ旅立つ。これはこれで不思議な事実であるが、美しさ、整合性を追い求めるわたしたちとしては、なんとしてもかれらには3乗根体の世界にとどまっていただきたかった。
いや、そうあってほしい、と望むのは人間サイドの身勝手。
ダメなものはダメ。気をとりなおし、かれらの世界の真実を追求しよう。
思い出してほしい。
正負反転体❶~❹型は3乗根体の変換行列としてうまく機能してくれた。
先にも示したが、これに対応する3乗根体は、以下の四つ。
わたしたちは今後、このような四つ組を〝正負反転体❶~❹型対応アダマール行列3乗根体グループ〟と呼ぶことにする。ちなみに、同一のグループに属するならば、グループ内のどの格子体を代表に選んでも正負反転体❶~❹型により変換される格子体は同一のグループに属するものたちとなる。
正負反転体❶~❹型が全正負反転体の中でもとりわけ重要な位置に坐し、コアな役割を果たすことは、これまでにもいくどとなくたしかめてきたことである。
事実、ここまで未分類であった、残り32種のアダマール行列3乗根体に対しても、正負反転体❶~❹型はオールマイティな力を発揮する。
このブランク部分がどのように埋められてゆくか。
ぜひ、以下の動画にて確認されたい。