さて、アダマール行列(4×4)3乗根体(+)全48種類を準備しよう。
ごらんのとおり、これらの柄(パターン)は対称性を欠いており、わたしたちのよく知るところの正負反転体とは大きく趣を異にしている。
だが、アダマール行列3乗根体と正負反転体は、見えない言葉で互いに会話を交わしてあっているのでは、という疑いがここにきて持たれれているのである。
ほんとうか?
さっそくだが、これを見てほしい。
なにが起きていたか、ここは解説が必要なところであろう。
まず、わたしたちは、3乗根体(+)の中から一つをチョイスし、
この3乗根体(+)に対し、正負反転体全16種と関与させたのであった。
ここで用いられる積はアダマール積であることに注意を払っておきたい。
さて、このようなこころみがどのような結果をもたらすか……
正負反転体自体が全部で16種あるのであるから、当然のことながら、このような積合成の結果として、わたしたちはそれぞれ相異なる16種類の格子体を得ることになる。
驚くべきは、これらのすべてがアダマール行列3乗根体であるということ。
3乗根体(+)と3乗根体(–)にバラけているが、16種類のすべての積合成格子体の柄(パターン)はこれら二つのグループの中に見い出すことができる。
いったいどういうことなのか? たった一つのアダマール行列3乗根体から、16種類の正負反転体を通して、16種類のアダマール行列3乗根体を生み出されてしまう?
この事実が意味することはなんであろうか。
ここで正負反転体の積表を広げてみよう。
さて、積表が存在するということは、16種類の正負反転体がそれ自体で一つの閉じた世界を形成しているということであった。念のため、積表の読み方を復習しておこう。
たとえば、この第1行目に注目してほしい。
これが示している事実を式として丁寧に書き起こせば、
ここでは❶型が主軸となっているので、これらの結果は当たり前のことのように映るかもしれない。が、先に得られたアダマール行列3乗根体を用いて、これらとまったく同等の関係を示すことができたとしたら、諸君らはどう思われるだろう。
どうだろう。
これはどう見ても、少しも当たり前のようには見えない。
じっさいに16種類のアダマール行列3乗根体らは、たがいにたがいをどのようにかけあわせても正負反転体のいずれかのかたちとなる。積表で表現するなら、
わかるだろうか。
この積表の中身は、正負反転体のそれとまったく同一。
アダマール行列3乗根体は、まさしく正負反転体の化身。
信じがたい話であるが、どうやらこれが真相のようである。