さてと。諸君らのうち、どれくらいの者がついてきてくれているか、不安だ。
このあたりでいったん整理しておこう。
わたしたちは、これらアダマール行列4乗根体(+)(-)全192種を正負反転体❶~⓰型を用いることによって分類したいという野望を抱いていた。
が、前章でわたしたちが気づいたことは、アダマール行列4乗根体を正負反転体❶~⓰型で変換すると、その一部分が2乗根体の世界へと逃げてしまうということだった。
それゆえ、アダマール行列4乗根体を正負反転体❶~⓰型変換によって分類する際には、アダマール行列2乗根体をも加味しなくてはならない。
アダマール行列4乗根体(+)(-)全192種とアダマール行列2乗根体全64種。ふたつをあわせると192+64=256。256は奇しくも16の2乗数。すでに何か目覚ましいことが起きる匂いがプンプンする。つまり、アダマール行列2乗根体/4乗根体混成チームに属する全256種は、16の構成員から成る16個グループに分割しうるかもしれないという可能性……。
何を言っているかわからないだろうか?
まあ、やっていくうちに徐々に見えてくると思う。
今回は、趣向を変えて、4乗根体ではなく2乗根体の側から攻めてゆきたい。
とりあえず、2乗根体全64種から一つを選ぶ。
これを正負反転体❶~⓰型によってアダマール積変換するとどうなるか?
やはり興味深いのは、ここに生成される16種類の変換格子体は、いずれも2乗根体or4乗根体のうちのいずれかになるということであろう。
してやったりである。
2乗根体四つに4乗根体(+)八つを入手。
この手順をくりかえそう。2乗根体から今度は、この格子体をチョイス。
これを正負反転体❶~⓰型で変換すると、
どうだ。
先とおなじく、2乗根体は四つ。
が、4乗根体は(+)と(-)にバラけてあらわれるようだ。
それぞれ、これらを埋めてゆくと、
これで手順は一巡する。
要領がつかめてきただろうか。
では、次。
未分類の2乗根体から一つの格子体を選び、正負反転体❶~⓰型で変換。
収穫できた変換格子体をそれぞれプロットしてゆく。
埋まってゆくと嬉しい。
分類が確定したので、次はこれを代表元に選ぼう。
これと正負反転体❶~⓰型を関与させ、どこにプロットされるかチェック。
調子が出てきた。
はい、次。
こんどはこれを選び、同じ手順でグループを特定。
それにしても、ここまで一個も重複がないのはありがたい。
正負反転体❶~⓰型の変換力さまさまである。はい、次。
このあたりでプロットされた分類済み格子体の分布の仕方にきわだった偏りがあることに気づきはじめる。それぞれ上半分の領域ばかりが埋められてゆくではないか。
まあいい。
次。
やはり、上半分にしか変換格子体はあらわれない。
不思議。
ここでようやく、前半戦にリーチがかかる。
次の16個がどのように埋められてゆくか、興味深く見守ろう。
どうだ。
きもちいいくらいに、ピタッとはまってくれた。
なぜかはわからないが、2乗根体においても4乗根体においても、分類と未分類の格子体は上下でくっきりと分かれた。この爽快な景色。骨は折れたが、やった甲斐があったというもの。
これにはおそらく理由があるだろう。たとえば2乗根体を例にとると、上領域と下領域には正負反転関係にあるものが分かれて存在している。いってみれば、一方を表とすれば、もう一方は裏。そんな関係である。
というわけで、このまま後半戦へと突入したとしても、そこでわたしたちが目にするだろうことは、前半戦で見たことと本質的には同じことが起こることが予想される。
これをもって分類は完遂。
そう、宣言させていただきたい。