さて、アダマール行列3乗根体と正負反転体との関係は前章で決定的なものとなった。ふりかえっておくと、アダマール行列3乗根体(+)から一つを選び、
これに以下のような正負反転体全16種とのアダマール積合成をこころみ、
わたしたちは正負反転体の化身ともいうべき、新たな16種の格子体を入手するにいたった。
驚くべきは、これらはいずれもアダマール行列3乗根体の性質を失っていないということであり、3乗根体(+)と(–)のグループに次のように分散して存在している。
なぜなのか? わたしたちが最初に選んだ3乗根体がたまたま運良く、ほんとうにたまたま運良く、そのようなすべてを成立させる形態を持たされていた、というにすぎないのだろうか?
いや、これはけっしてラッキー云々の話ではない。
たとえば、アダマール行列3乗根体(+)から先のとは一つ隣りの格子体をチョイスしてみよう。
これと正負反転体❶~⓰型とを関与させるとどうなるか。
じっさいに一つ一つアダマール積をとってゆくとこうなる。
これらの結果をよく見つめてみてほしい。
あらわれる順序こそ違えど、積合成格子体は先に得られたものと同じであることに気づかされるであろう。
さて、わたしたちはこれらを〝正負反転体❶~⓰型対応アダマール行列3乗根体グループ〟と呼ぶことにしよう。
ここまで見てきたことを再確認しておくと、正負反転体❶~⓰型対応アダマール行列3乗根体と正負反転体にはこのような関係が成り立っている。
わたしたちはこのような幾何的コミュニケーション手法に不慣れであるため、奇妙で複雑きわまりないものとして映る。あるいは、これらの恒等式を変形すると、
どうだろう。
この領域で鍵を握っているのは、どうやら正負反転体❻型であるらしいことが判明する。
はたしてアダマール行列3乗根体にとって正負反転体は何であるのか?
ある意味で、それらは正負反転体の忠実なる影としての役割を果たしているようにも見えるである。