さて、全768種あるアダマール行列の中には対称行列が64個含まれている。
一覧して、まず気づくこと。それは、どうやらアダマール行列には正負反転関係の対(ペア)が存在しているらしいということだ。たとえば、この二つ。
表と裏の関係というべきか。
いや、このペア間ではたらく力は、見た目以上に強いのではないか?
どうだろう。
動画で示されていた関係を記述するとこうだ。
なかなか美しい。
そして、この恒等式は、アダマール対称行列のすべてのペア間において成立する。
さて、このようなペアリングの過程で、もう一つ、気づくことがありやしまいか。さよう。各ペアには下記のような回転ペアも存在しているということ。これを見てくれたまえ。
あるいは、
すべてのアダマール対称行列正負反転ペアは、これら180度回転or90度回転のいずれかによって、クヮルテットを構成する。
じつに、うまい具合に分類しきることができる。
なにかありそうだ。
さよう。このようなグループ分けが合理的である理由を一つ挙げたい。
驚くべきことに、これら四つ組たちのグループ内の四積はすべて等しい。
もっというと、この四積で生成される格子体は、アダマール行列の四乗体のそれと同一である。わからない?
以下の動画でたしかめてみてほしい。
どうだろう。
おなじことは、すべての四つ組において起きている。
ひとまず、きれいに分類できて心もスッキリ、一安心。
と、話をここで終えたいところであるが、どうにも気にかかることがある。
そう、これらの各四つ組を見つめると、その奥底から浮かびあがってくるそこはかとない影。わたしたちの脳裡にちらつくそのかたちは……
いきなりの正負反転体!?
とりあええず、この四つにご注目いただきたい。
あとの章で述べることになるが、この四つはクライン四天王のボディーに印されている柄にほかならない。いや、待ってくれたまえ。これらの柄はアダマール対称行列らが衣ている柄とはずいぶん異なっているではないか。
ご指摘は、よくわかる。
だが、表層ではなく、奥底にひそむ層をを見てほしいのだ。
アダマール積により、ここでは❶型❷型のマリス/タリス型が生成。
他の二つのパターンも見てみよう。
どのグループでやってみても、グループ内で生成されるアダマール積合成格子体は❶❷❸❹型のいずれかに還元されることがたしかめられるだろう。
アダマール対称行列の背後から、糸をひく謎の存在。これらの四つの型がなにゆえにクライン四天王という名で呼ばれるようになったか。
そのいきさつは、じょじょに明らかにされるであろう。