アダマール行列3乗根体世界への扉を前にしてわたしたちは戸惑っている。
いま、この時点でわたしたちが知っていることは、全96種の3乗根体たちは正負性によって二つのグループに分かたれているということ。それのみである。
どう攻めるのも自由。
と、勇んではみるものの、こうやってドアノブのない扉の前で立ちつくしているのである。
とりあえず、これら乱雑にならんでいる3乗根体をどうにかして整理整頓したい。
が、いったいどうやって?
とっかかりがまったくないわけではない。
たとえば、3乗根体(+)のこの二つの格子体に注目してみてほしい。
この二つがどんな関係にあるかは一目瞭然。
さよう。
一方は一方の180度回転体になっているのである。
さて、ここで一つ述べておきたいことは、任意のアダマール行列 (4×4)が3乗根体であるならば、その180度回転体もまた3乗根体であることが約束されるということである。
これは単位行列系の形が180度変換に対して、不変のかたちを保つことから明らかであろう。つまり、わたしたちは、ここでは一つの光景を二通りの仕方で眺めているにすぎない。
すなわち、3乗根体(+)全48種は、それぞれ0度/180度回転体のペアを有しているということだ。
多少、スッキリした感がある。
が、3乗根体(+)全48種の整理整頓は、まだ完全に済んだわけではない。
お気づきだと思うが、各ペアは6つのグループに色分けされている。
いったい、これらの分類が何を意味しているのか?
その秘密を明かす動画を用意させていただいた。各グループがいかなる力によって、たがいに引きつけられ、結びつけられているかがおわかりになるはず。
0度/180度回転体同士のアダマール積。
そこであらわれる整然とした柄(パターン)。
ここに登場する柄たちに見覚えはないだろうか?
ない、はずがない。
これらはいずれも正負反転体が所有している柄の中に見い出すことができる。
ズバリ、❸❹❼❽型である。
アダマール行列 (4×4)3乗根体らがこのような規則正しい柄を浮かびあがらせるという事実。しかも、それぞれの柄を選ぶペアたちは、四組づつ。それゆえ、グループ構成はパーフェクトなまでに均等化されている。
偶然か?
いや、このことは、3乗根体(–)全48種についてもいえるようである。
これらの格子体たちも、上記の6種の柄を通して、きれいにグループ化されるのである。お見せしよう。
どうだろう。これらの3乗根体(–)の各グループの各ペアたちは、3乗根体(+)のそれがなしたこととまったく同様のことをやってのけるのである。
いったいわたしたちは何を見ているのか?
なにゆえに6種の正負反転柄があらわれねばならないのか?
これらの柄を見つめてみてくれたまえ。そして耳をすませてくれたまえ。
なにか、その奥底から、しきりと訴えかけてくる声が聞こえてはきはしまいか。
いや、まさか。
しかし……
ひょっとすると、いまわたしたちが目にしているのは、あの偉大なる……