前章からひきつづき、マリス/タリスの総和凝集について見てゆこう。
この超格子体をサンプルとして使うなら、マリスとタリスそれぞれの型から、
このような数たちを入手することができよう。さらに、わたしたちは今回の考察に適したかたちとするため、これらの数を円環状に配することにする。
さて、これからこころみるのは、からみ積と呼ばれるものであるが、どのようなものであるか感覚的につかんでもらうためにはやはり動画を見てもらうのがいちばんであろう。
どうだろう。動画でとりあげられていたのは、からみ積(マーの呼吸)の和による対消滅現象であった。といって、あっというまの出来事であったため重要な部分を見逃してしまった者もいるやもしれぬ。ここは一つ詳細に解説してゆこうと思う。
まず、からみ積とは二つのグループ間で積をとりあい、それらをマー/アーの呼吸で継ぐこととほかならない。グループ間の積は、あらゆるパターンを重複なしに網羅しなくてはならないので、ここではマリス型を固定させ、タリス型を回転させてゆく方法を採用したい。
この回転にそって、それぞれの円環で同じ位置にある数同士の積をとる。
こうして積合成された円環が得られるわけであるが、今回はこれらの数を時計回りにマーの呼吸でつないでゆく。
そうすると、奇妙なことに二つのパターンにおいて、正負反転関係の数があらわれる。
つまり円環同士の積は+によって、きれいさっぱり対消滅してしまうというわけである。
なにやら奇妙。こんどは、呼吸法をマー→アーの呼吸に変換してやってみよう。
なんと、ここでも対消滅。すべてがきれいに消え去ってしまう。そして組み合わされるパターンのペアは先ほどの場合と異なっているのもミソである。
消失する際に用いられる演算子は+でなく、-。
マーの呼吸のケースとよくよく見比べてもらいたい。ここには深い対称性の構造が潜んでいる。なにやら煙に包まれるような話であるが、これがマリス/タリスの総和凝集数のふしぎはこれにとどまらない。つぎに見ていただきたいのはこれ。
わかっていただけたか?
アーの呼吸とマーの呼吸の連携プレーによる大消失。用いられるのはからみ2乗数連積数である。
こうして得られた4数を以下のような順で連結(マーの呼吸)すると、
ごらんのとおり、あとかたもなくなってしまう。
さてと。
不可解なほど頻繁に消失現象があらわれる理由。このような事態が起こるための一つの条件としては、おそらくこのようなことが考えられるだろうとわたしは見ている。
これまで見てきたマリス/タリス型についていえば、
このようなウマい関係が成り立っている。さすがはプレーン超格子体、と特別扱いしたいところだが、このような関係性を有しているのは、これが唯一というわけではない。
これは前章で見た内包格子体。この種の超格子体のマリス/タリス型についても驚くべきことに、同様の関係性で結びついていることがわかる。
つまり、このマリス/タリス総和凝集数の有している対称性もまた対消滅現象を可能ならしめるということ。いや、じっさいにその目でたしかめなければなるまい。
まずは、1乗数連結(マーの呼吸)による+消滅。
つぎに呼吸法を変えて、1乗数連結(アーの呼吸)による-消滅。
最後のシメは2乗数連結(アーの呼吸)によるマーの呼吸消滅
どうだろう。回転対称性にくわえ、+やら-やらが入り乱れているのだ。全体像を把握するのは、容易ではない。が、尋常ならざることが起こっているという雰囲気だけは感じとっていただけたと思う。
なぜ、すべては0の彼方に消え去ってしまわねばならぬのか。その謎への回答もまた0の彼方に存するのであろうか。