さて、これら正負反転体16種の中には、特別な四つの存在がひそんでいる。その事実を知ったのは、わたしたちが幸運にもこの積表を入手したおかげである。
さよう。
積表に隠された秘密の鍵がこの小エリアにあった。
クラインの四元群の名で知られているこの❶❷❸❹型は、残りの❺~⓰型の存在がなくとも、独自で閉じた小世界を形成することができる。その意味で、彼らは特権的な位置に坐しているといってよい。
が、今回は、積表から読みとれるもう一つの驚くべき秘密を明るみに出したい。
さあ、諸君。この部分に注目されたい。
四分割されたクラインの四元群?
これらの柄を浮かびあがらせているのは❼❽⓫⓬型。何が起きているかをはっきりとさせるために、無関係の反転体には消えてもらうことにしよう。
サイズダウンされた積表。
よく見つめてほしい。
まちがいない。クライン四天王には影武者が存在していたのだ……。
さよう。これらは❶❷❸❹型の身に万が一のことがあった場合にそなえ、背後に控えているスペア(代役)的存在といってもよい。
どうだろう。❶❷❸❹型に対する❼❽⓫⓬型の模倣力。まったく。四天王らの周到さには、あっけとさせられるではないか。
さて、四天王らとその影武者たちの関係を知る上で、積表(8×8)における、この二つのエリアについても注目しておきたい。
浮かび上がる二つの格子体はぴったり重なり合うように見えるが、じつは惜しいことに微妙に異なっている。
重要なことは、このエリアには❼❽⓫⓬型しかあらわれないということ。ここから読みとれることとしては、クライン四天王は影武者体が一つでもあれば、そこから自らのボディーを使って他の三体を生み出すことができることだ。
どういうことか?
仮に影武者体が❼型しかいないとする。
このとき不在の❽⓫⓬型もふくめ、すべての影武者体セットが四天王と❼型を通してこのように生成される。
別に❼型でなく❽型や⓫型や⓬型を用いても、一つの影武者体から、すべての影武者体セットがクライン四天王らによって完全復元されることになることは積表により約束されている。
まさしくクライン四天王の忠実なる分身ともいうべき、影武者体。
最後に、影武者体❼❽⓫⓬型の驚くべき擬態ぶりを見納めて、この章をしめくくることとしよう。