思い出してほしい。前章でわたしたちは新しい2種の行列(4×4)を手に入れた。
この二つは考察の対象として大事に扱いたいので、命名しておく。マリリオンとタリリオン。以後、お見知りおきを。また便利のために記号表記も併記しておいた。プレーン超格子体をK、マリス◀︎1▶︎をM1、タリス◀︎1▶︎をT1と読み替えて表現している。
両者はK×0あるいは0×Kという演算によって生成されたものであるからして、本来的にはどちらも0であるはずだ。よくわからないが、そのはずだ。通常の数の世界では0は表現上0だけであるが、行列世界では勝手が異なり、0は多様な姿をとる、のであろうか? 謎である。
とにかくこの二つは0を意味するものとして、あるいはそのことはあまり深くは考えずに話を進めてゆきたい。
では、マリリオンとタリリオンをかけあわせてみよう。意味合い的には0×0なので、ここでも0が生まれるはずである。ええい、ままよ。とにかくやってみるだけだ。
よし。わたしたちはマタリオンというべきものを入手した。16のマスに埋められた数は一つとして重複はないようだ。考察のし甲斐があるというもの。
さてと。いったい何を観点に、このマタリオンを調査すればよいのか。そもそも、ここまで正体不明なものにわたしたちはめったに出くわさないだろう。いや、手をこまえねいてばかりいてもしかたがない。当面は、相愛力を手がかりにあたってみよう。やれることはすべてやる。さっそく、アタックしてみたい。
ファーストアタックはうまくいった。これはオリジナルの超格子体から継承されたもの、と考えてさしつかえないだろう。
いや、同等の力はマリリオンとタリリオンにもそなわっていた。これは1次(1乗次元)の相愛力で、「弱い相愛力」とされている。プレーン格子体についてはくわえて2次、3次の相愛力も、マリリオンとタリリオンに関しては1次~∞次の相愛力が内在している。
では、マタリオンの相愛力は1次どまりなのであろうか?
いやいや、そうともいえなさそうだ。これを見てほしい。
ご覧いただいたのは、2次の相愛力。残念ながら3次の相愛力についてはみとめられなかった。それでもオリジナルの超格子体から2度にわたる行列の積をこうむっているのである。その点はさしひいてみるならば、やはり充分にすごい、という印象。なぜ、構造が崩れないのか?
ここまで見てきたのは4–4相愛力。つづいては8–8相愛力のほうも見てみたい。この力は格子全体をおおっているものであるが、これをたしかめるには順序が肝心である。
これが8–8相愛数たちが好む順路パターンの一つ。この順序をしっかり頭に入れた上で、つぎの動画を見てほしい。
ここでは1次の相愛力(アーの呼吸)と相思力(マーの呼吸)がはたらいているのが見てとれる。プレーン超格子体と対応させれば、
プレーン超格子体の場合は2次、3次と相愛力は発揮されつづけるが、マタリオンについてはそのかぎりではない。ただし、マタリオンの内部ではきわめて特殊なことが2乗次元、3乗次元で起こっている。
そう。2乗数生成力である。マタリオンをマリス型とタリス型とに二分したとき、それぞれの格子の2乗数の総和の差分、また3乗数の総和の差分のいずれも2乗数になるという現象。ちなみに1乗の差分は0であるので、これも2乗数と解釈すれば、1~3乗の領域で2乗数生成力が発揮されるということである。これはプレーン超格子体、マリリアン、タリリアンについても同様にいえることであるのでまことに興味深い。
ここまで思った以上の収穫である。
が、ここでわたしたちは、うっかりしていたことに気づく。そう、行列の積は順序を変えると異なる結果を生む。そうなのだ。マタリオンばかりに満足してもいられない。
タマリオン。その姿かたちはいかなるや。あらかじめいっておこう。驚くべきことに、その風体はマタリオンとは似てもにつかぬものである。にもかかわらず、タマリオンはマタリオンと同等の性質を有する。そんなことがありえるだろうか?
はたしてタマリオンとは。
その目で、しかとご覧じろ。