幸運にも、わたしたちは別バージョンのマテオン完全体を入手し、その骨格までをも露わにすることができた。
マテオン完全体(マーのフォルム)。
呼び名としては、いささか長ったらしい。以降、このように記述することにする。
マテ完(アー)については、ごらんのようにのっぺらな顔つきで、あえてこれを単体として観察する意欲をかきたてられない(かといって、この高度に構成されたこの格子体の構造を低く見積もっているわけではない)。それゆえ、しばらくはマテ完(マー)と対比させることによって、両者の間に機能している共通構造を探ってゆくという方針を採用することとする。というわけで、さっそくだが、これを見てほしい。
対角積消失現象。マテ完(アー)については自明すぎる結果だが、マテ完(マー)とならべて眺めると、このような性質もきわだったものに見えてくるから不思議である。動画では2×2のサイズの対角積のみが扱われていたが、3×3あるいは4×4とサイズを広げてもかまわない。
このようにマテ完(アー)においても、マテ完(マー)においても対角積の差分はきれいに消失する。念のため、いっておくと3×3サイズの対角積については、マテ完(マー)のどの部分を選んでもかまわない。
準備運動をすませたところで、つぎに両者に共通する2乗数生成構造についてお話したい。まず、わたしたちはマテ完(アー)について、このような事実を指摘することができるだろう。
このような内包格子の系を考えたとき、いずれの正方格子の全格子数の総和は2乗数になる。マテ完(アー)については、いわずもがなであるが、マテ完(マー)についてはどのようなことがいえるだろう?
そう。マテ完(マー)の内包格子もまた2乗数生成力がそなわっている。そして、この2乗数生成力は、そんじょそこいらの2乗数生成力ではないのである。内包格子(2×2)を通して、この力に高次元の奥行きがあることを示しておこう。
どうだろう。動画では5乗次元までしか映されていなかったが、以降、内包格子の各格子をn乗しても、その総和は2乗数のかたちが約束される。
驚くべきは、この構造に拡張性があるということ。
というのも、内包格子(3×3)においても、
あるいは、内包格子(4×4)においても、
このような事実がみとめられるのである。くりかえしになるが、自明であるとはいえ、これと同等の力がマテ完(アー)にも完備されているということは強調しておきたい。
だからどうした? そんな声が聞こえてきそうだ。気持ちはわかる。が、まあ、しばらくは諸君らには辛抱強くつきあっていただくことを期待する。