ミステリアスな構造をもつ二つの完全体。
その単純な外観からは想像もつかないような事実がつぎつぎと明るみになってきている。
まず、わたしたちをハッとさせるのは、これらを行列としてとらえ、積をとったときに起こること。
この光景。かなりのインパクトである。二つがかけあわさったとき、格子数はきれいに0にそろう。両者のアー性とマー性がよくあらわれた現象であるといえよう。
さて、行列の積とはかくも奇妙な演算法であるが、この機会に少しつっこんでしらべてみたい。
マテ完(アー)同士の積。
つまりはマテ完(アー)の2乗体である。
この種の演算に長けている者は、このような結果は暗算でも実行できるだろう。だが、マテ完(マー)の2乗体となればどうだろう。
この姿をあらかじめ思い描ける者は少ないだろう。
いや、じっさい、やってみなければわからない。
なにが起こっていたか、その目でしかととらえていただけただろうか?
積によって生成された数は、もともとの行列の定数倍。つまり、マテ完(マー)は2乗体となっても、その骨格をすこしも変えないということである。
行列の世界に疎い者にはピンとこないかもしれないが、これはきわめて稀有な現象なのである。そう、マテ完(マー)は、この世界で特異な座を占めていると見てまずまちがいない。
そうなのだ。これを見てほしい。この等式には、2乗体にとどまらず、あらゆる累乗体においてマテ完(マー)の骨格のかたちは維持される、という事実が主張されている。たとえば、3乗体はこう。
ややもすると見落としがちであるが、マテ完(アー)についても同様の形式の等式が書かれうる。
それゆえ、このn乗体の構造不変性とでもいうべき性質は両者の共有構造であるともいえる。そして、真に驚くべきは、これらの法則は、かれらが所有するあらゆる小細胞(内包格子体)にも適用されうるということである。
どういうことか?
たとえば、マテ完(マー)からこんな小細胞を切り出してみよう。
諸君らは、この内包格子体(3×3)の2乗体がどのような形になると想像する?
気になるだろう。やってみよう。
2乗体は、もとの格子体(3×3)の骨格をしっかりと引き継ぎ、その定数倍となっている。動画では2乗体しか扱っていなかったが、この構造不変性はあらゆるn乗体についていえることである。
つまり、3乗体の場合はこうだ。
さて、マテ完(マー)の中には、3×3サイズの小細胞が他にも存在している。
わたしたちがいま見たのは❶である。
つぎに❷の2乗体がどうなっているかをしらべてみよう。
どうだろう。構造の不変性はここでもたしかめられるが、あらわれる定数は❶とは異なる。そう、❷の累乗体についてはこのようなことがいえる。
この5という定数は❸においてもあらわれる。
また先に❶で見た11という定数は、
さよう。これら二種の定数は対称的に配置されているようである。そして以上に見た内包格子体(3×3)の累乗体における構造不変性は、そのままマテ完(アー)にも適用される。
すべておなじ数から構成されているのだ。
この一つをたしかめれば十分。
あらわれる定数こそ違えど、すべておなじ形式。どうやら、わたしたちはマテ完(アー)とマテ完(マー)の強靭な骨格を透かしみることに成功したようだ。
次章では、かれらの小細胞をつかって、ちょっとした思いつきをためしてみたいと思っている。