マテ完(マー)の前に、いまだこころみられていないことはおそらく数かぎりなくあるだろう。
この興味のつきない対象物の性質を十全にひきだすには、さらに多くの果敢な挑戦者たちによるさらに多くの果敢な挑戦が不可欠であることはいうまでもない。
さて、今回は、前章でとりあつかった時計廻り周回積の別解釈、〝回転体ファミリー〟という概念をつかっても同様の主張がなしうる、という事実をともに見てゆきたいと思っている。
〝回転体ファミリー〟は、ことさら真新しい概念ではない。そもそも、いま見ているマテ完にしてもマテオンの回転体ファミリーの連結(マーの呼吸)によってつくられているのであった。
では、ここにマテ完(マー)の回転体ファミリーにご登場願おう。
見ていただいてわかるように、マテ完(マー)の構造上、0度回転体と180度回転体、そして90度回転体と270度回転体はまったくおなじ姿となる。そして、これらファミリー四体は、いずれも同一の骨格を共有しているといえる。
つまり、一方のかたちは、もう一方のかたちの正負反転形となっているのである。このことを踏まえた上で、以下の動画を見ていただきたい。
ファミリー回転体の連続積。骨格は、もとのマテ完(マー)の骨格をそのまま引き継いでいる。ここでは0度回転体を使ってこのように式を記述しよう。
この20という数がなにを意味しているのかは、だいたい察しがついているはずだ。
さよう。対角格子の総和。ファミリー回転体の連続積において、これほどまでにうまくバランスしてるということは、それくらいマテ完(マー)あるいはマテ完(アー)が行列世界の中で特異な位置を占めているかという証左にほかならない。
いや、この事実は全景の断片にすぎない。
つぎに見てゆくのはマテ完(マー)の内包格子体(3×3)の回転体ファミリー。
これら四つのファミリーの連続積をとると、
どうだろう。
骨格は0度回転体をベースにしていおり、かつ係数は3乗数。
いうまでもなく、この11という数の正体は、
これと似たような等式は、前章でも見たはずだ。
基となる内包格子体(3×3)の構成は、正負を微妙に違えるが、どちらもおなじ結果に導かれることは注目にあたいする。
さて、回転体ファミリーのならべ方について疑問をもたれる者もいるかも知れない。いま、わたしたちは当然のごとく〝時計廻り〟を前提としている。
が、これを〝反時計廻り〟にするとどうだろう。
はたして、おなじ結果をわたしたちは期待できるか?
予測不能。
やってみないわけにはいかない。
そう、思いがけない結果。ここでは、骨格ベースも構造固有定数も終点である270度回転体が選ばれている。向きを逆にすると、始点と終点が入れ替わる。ある意味で整合性がとれているともいえる。
ちなみにこれとまったく同一の現象がもう一つの内包格子体(3×3)においても起きている。
右下隅のこれである。
この回転体ファミリーは〝時計廻り〟にならべると、
このように直列にならべた上で積をとると
ごらんのとおり、骨格ベースも構造固有定数も0度回転体をベースとしている。一方、これとおなじことを〝反時計廻り〟でやってみると、
始点→終点の交換が行われた。
偶然だと打ち捨ててよいものか。
この事実を吟味するために、内包格子体(2×2)の回転体ファミリーにもご登場願うことにしたい。
なにが起こるか、まずは〝時計廻り〟回転体ファミリー積から見てみよう。
ニラんだ通りである。
つづいては〝反時計廻り〟
他にも同じ現象を起こせる内包格子体(2×2)は存在している。
わたしが見つけたのは、このド真ん中の位置。
〝時計廻り〟と〝反時計廻り〟の回転体ファミリー積は、
興味深いのは、この格子体の場合〝時計廻り〟も〝〝反時計廻り〟も見ため的にまったく同一となるのだが、始点⇄終点の交換が行われていると主張しうる、ということである。そして、もう一つ対象としたい内包格子体はこれ。
これは最初に見たものと構成数は同じ。
結果は察しがつくが、念のため、たしかめておこう。
やはり同じ法則が貫かれている。
そして、この三つの内包格子体をならべてみると、
そう、これらは三つとも対角線(trace)にも貫かれている。これ以外の内包格子体(2×2)には上記に掲げた厳格な規則が保証されるとはかぎらない。それゆえ、右上隅から左下隅に走るこのラインは格子体にとってのパワーの中枢。そう、考えてまずまちがいあるまい。