さて、標題にもある〝マテオン完全体〟
もちろん、諸君らにとっては初耳のことと思う。
それもそのはず、こうして語り部となっているわたしでさえ、その存在をついぞ今の今まで知らなかったのだ。それを見つけだせたのは、たんなる幸運にすぎない。
はたして〝マテオン完全体〟とはなにか?
じつのところ、より精確には〝マテオン回転連結完全体〟というべきものであり、そのバージョンには二種類の形式があると考えられる。マテオンは全6種であるので、それゆえ〝マテオン完全体〟は都合12種、存在していることになろう。いや、その構造の本質に着目すれば、たったの2種とも…
けっして、むつかしい話ではないのだ。
が、心して聞いてほしい。
まず、各マテオンはそれぞれに回転体ファミリーというものを有している。マテオン❶でいうと、この四つ。
このマテオン❶について、これらすべての回転体の総和をとると一つの〝マテオン❶完全体〟を得ることができる。やってみよう。
そう。これがマテオン❶の完全体。内部の全16格子がきれいに揃うという事実は、じつに意外ではなかろうか。
さて、思い出していただきたい。
マテオンはその構造上、三つのグループに大別できたことを。
三つのグループにおいてペアとなっているマテオン同士は、互いの平行移動により、変換可能なかたちをもっている。
それゆえマテオン❶が完全体において全格子共鳴を起こすのであれば、マテオン❷についても、
そうなのだ。
構成数こそ違えど、格子数はすべて同一数に統一される。
では、マテオン❸についてはどうだろう?
このタイプについては❶❷❺❻型のマテオンの形式とは異なり、非–対称行列である。
結果を興味深く見守ろう。
なんと全格子共鳴である。
マテオン❸がそうであるならば、マテオン❹もそのはずである。
そして、もう一つの対称行列型のペアである❺❻についても、この全格子共鳴現象は起こる。
わたしたちが得た完全体をぜんぶならべると、
いずれにおいても全格子共鳴。
つまり、これらはすべて同一の骨格を有しているということである。
また六種の完全体はペア連結により、連結体同士の共鳴をも引き起こす。
さて、これをもって〝マテオン回転連結完全体〟のイントロダクションとさせていただく。が、あくまでこれは一つのバージョンにすぎない。以上において紹介したものは、あくまで完全体の表の顔。わたしに言わせれば、よそゆきを装った巧妙なカモフラージュの姿。次章では裏の顔とでもいうべき、マテオン完全体の異形を白日のもとにさらしたいと思っている。