さて、前章でわたしたちは、これら四つの行列の積がまったく同じ以下の格子体を生成することを見たはずだ。
つまり、基準❶型の2乗体は他のマテオロス型を用いて三通りの表現ができるということ。
今回は、この2乗体という観点から、マテオロス16種の相互関係にぐいと迫ってゆきたいと考えている。どういうことか? たとえば、反転❷型の2乗体を見てみよう。
わたしたちの問いは、これとまったく同一の格子体を反転❷型以外のマテオロス型を用いて表現できるか、ということだ。
このようなa,bを特定する手法というのは知られていないだろう。ならば、かたっぱしから攻めてゆくのみ。
シラミ潰しに調べてみた結果、a,bを満たすマテオロス型はたったの一組だけ。
とりあえず、一つでも収穫できたことを喜びたい。二つのパターン(柄)が90度回転変換関係にあることもわたしたちの目を惹く。記憶にとどめておこう。
つづいて反転❸型の2乗体。
こちらについて、対応するa,bの組もなぜか一組のみ。
やはり、二つのパターン(柄)は90度回転変換関係。
気になるところである。
ちなみに再三、申し上げていることであるが、行列の積という演算は順序を逆にすると異なる結果をもたらす。
ここで❿×➒を➒×❿と逆順にすると
冒頭でも見た通り、基準❶型の2乗体となるのであるので要注意である。
では、反転❹型に移ろう。この2乗体はというと、
もしかしたら先行した事例から、この2乗体に対応する二つのマテオロス型をあらかじめ特定できる御仁がいるやもしれない。
どうだろう。
この結果は予想範囲内であっただろうか?
二つのマテオロス型は互いに90度回転変換関係。また積順を入れ替えると、
先と同じく基準❶型の2乗体となる。なにかここには見えない規則の糸がはりめぐらされているように感ぜられる。ここまで見てきたことをパターン(柄)だけにフォーカスし単純化してみると、
こうして並べてみると、うっすらとではあるが見えてくるものがある。積の対象となるそれぞれ二つのマテオロス型をかさねあわせ、ピンクが重複する部分(イエロー)をブルーに変更すると、積の結果と同じものが得られる。
なぜ、ピンクの重複だけをチェンジし、ブルーの重複はそのままなのかというと、おそらくそれは負数×負数は正数になるが、正数×正数は正数のままであるということと関係しているのだろう。
が、すべての2乗体において、このような美しい解釈、合理的操作ができるというわけでない。次章では、残る四つのマテオロス型2乗体を見てゆきたいと思っている。