さて、ひきつづき、マテオロスの2乗体について。
前章でわたしたちは❶❷❸❹における2乗体が、異種のマテオロス型の積で表現できることを見出した。
同じ観点で考察をすすめてゆきたいが、しらべるのは、じつのところあとこの❼❽⓫⓬の四つのみ。
なぜか?
❺❻❾❿⓭⓮⓯⓰については、2乗体がどうなったか思い出してほしい。
そうこれらはすべて、揃って0行列を生成する。
残すところあと四つときけば、すこしは気が楽だろう。
そのぶん、気をひきしめてかかりたい。というのも、❶❷❸❹の場合とくらべ、ここからはいささか不規則ともいえる現象があらわれるからである。
どういうことか?
まずは❼の2乗体から見てみよう。
この2乗体を異種のマテオロス型の積であらわせるか? というのが、わたしたちの問いであるが、探してみると254通りある中でたった一つの該当例が見出されるのである。
ここまで❶❷❸❹の場合においても、該当する積のかたちは一例のみであった。ならば、これは一般化できる規則ではないかと考えるのは勇み足である。というのも❽の2乗体。
これを異種のマテオロス型の積であらわす方法は、
なんと3通り。❼と❽は一方を90度回転させた関係にすぎないのであるから、積分解の該当例も同数になるにちがいない、そんな大方の予想を裏切る結果となっている。
つづいて⓫の2乗体。
どうだろう。こうなってくると、優秀なる諸君らとて、これを異種のマテオロス型の積であらわす方法が何通りあるか、あらかじめピタリと言い当ててみせると強気に出られる者は少ないはずだ。いや、そもそも該当例は0ということも充分にありうる話である。
さよう。
積分解の仕方は2通り。
まったく読めない。
では、最後の一つ⓬の2乗体。
これが⓫を90度回転させたものであるからといって、安易に予想は立てないほうが身のためだろう。
いや、こんどは案外素直に2通り。が、異種のマテオロス型のパターン(柄)は⓫と⓬で90度回転関係にあるわけではない。かれらがどんなルールに則っているにせよ、現時点で理解不能。とりあえず、これまで得られた結果をパターン恒等式としてまとめると、
ここでは❶❷❸❹における規則性は、あとかたもなく消失している。わたしたちには馴染みのない世界の言語で統制されている領域であることはあきらかだ。とくに、ここでは⓫と⓬の2乗体に注目しよう。
積分解されたそれぞれ四つのマテオロス型をクローズアップする。
さて、かれらがいかに不可思議な言語によって会話をしているか、その証拠をお見せしたい。
わかるだろうか? 四つのマテオロス型は、同方向に向かって積をとることにより、おなじ格子体(0行列)を生成する。
いや、方向はこればかりではない。
このような対角線に向かって積をとっても同じ消失現象が起こる。
ちなみにこれ以外の方向で0行列を生成することはない。
全方向において何が起きているかを示すと、
どうだろう。
諸君らはこれを見て、なにを感取する?
見えづらいが、しかし、厳然として存在する規則の糸。
その網目を読み解くために、なにをすべきか?
精査するのみである。
次章にすすもう。