わたしたちはこれから考察をする行列(4×4)について基礎を打ち立てておく。
まずは4×4の行列(matrix)の世界で1とされるものがこれだ。
この行列の1と自然数の1が対応づけられる根拠としては、自らに自らをかけあわせても自らの姿を変えることがない、というアー性を両者がともに有しているからである。
また、1にあるものをかけても、あるいはあるものに1をかけても、あるもののかたちは変化をこうむらない、という事実もわたしたちにはおなじみである。
わざわざ、積の順を入れ替えたのは、行列の積という演算においては、A×BとB×Aがかなずしも同じ結果をもたらすとはかぎらないからである。このことは今後とも注意してゆきたい。
さて、この行列の1の存在を踏まえた上で、つぎの等式を見てほしい。
あるものにあるものをかけあわせると1。ならば、これも1だろうか? 数の世界に1という概念が複数存在してもらっては困る。そう、これは1ではない。なぜか?
どうだろう。行列Aに超格子体をかけあわせると、上下がひっくりかえってしまった。あるいは、積の順序を交換すると、
今度は、左右がひっくりかえった。ただし、こちらもオリジナルの超格子体の数の構成に変化を与えない。ただ回転させるだけ。機能としては、どことなく1と似ている。が、1といいきることもできない。では、いったいなにか?
そう、これは行列の–1と考えられるのである。
あるものにあるものをかけたら1になるのは、1以外に、–1も考えられる。盲点だったろうか。この1と–1の存在を足がかりにして、さらに進めてゆこう。この等式を見てほしい。
あるものにあるものをかけあわせると–1。奇妙な主張のように思われる…。 じつは、このような等式はもう一種ある。
ここは虚数(i)にご登場を願わねばなるまいだろう。
そう、ここで見ているのは2つの虚数単位 i と –i と解釈されうるのである。どちらが i で、どちらが –i なのかは判断がつきかねる。が、とりあえずここでは、
と、このように仮決めをしておきたい。この設定で支障が出るようであれば、またそのときに考えることにしよう。とくに興味深いのは、格子内で1が置かれている位置は、4×4相愛数ポジションであるということである。このことは後の考察の対象として記憶にとどめておこう。
ちなみにこの二つの積をとると、
これらは以下の等式に対応していると考えられる。
ちゃんと整合性がとれている。一安心である。
というわけで、わたしたちはひとまず、ひじょうに重要な四つの基礎を手に入れることができた。