ひきつづき、この二つの円環を通して驚異の代数世界を散策したい。
以前にもお話ししたように、これら六数円環はその内部に正三角形を所有している。今回、わたしたちはその三角形を大胆にも交換してしまおうというのである。
どういうことか?
こういうことである。
こんなことをして代数倫理的に許されるか否かの議論は脇においておこう。数の世界は、わたしたちが思っているよりはるかに寛容で自由な気風にあふれている。なにはともあれ、諸君らにはこれを見てほしい。
対角積総和共鳴。
三角形交換によっても二つの円環の結びつきは、少しも失われていない。妙ではないか? いや、ここはもっと細密に語る必要がある。交換された三角形はどのように配置するかで、ほかにもいくつかの合成パターンをつくることができるだろう。
そう、ぜんぶで6種のハーフ&ハーフ相愛六数円環。さて、驚くべきは❸と❻の間でも対角積総和共鳴は起こりうるということである。
そして、❹と❺の間においても…
なぜだかはわからぬが、三角形交換という操作は相愛六数円環において有効にはたらく。それを証拠立てるものとしては他にも、
2連積総和共鳴なのである。
のみならず、ここで呼吸をアーの呼吸→マーの呼吸に変換して、
一方の円環の連積のめぐらせ方を反転(正負をそろえるための調整である)させれば、両円環が生成する数はピタリと一致する。
さて、ここまでは交換前のオリジナルの相愛六数円環とほぼ同等の能力。が、ここから先はハーフ&ハーフ円環にしかできない技をご紹介したい。
わかっていただけたであろうか?
3連積連結(マーの呼吸)共鳴である。おなじことをオリジナルの円環たちでやると、
ごらんのとおり、生成される数は不一致。そう、ここで両円環が一致するのは3連積連結(アーの呼吸)の場合である。
さて、この不可解なマーの呼吸の連結による共鳴現象は、さらに高次の連積においても起こっているようである。
見ていただいたのは5連積連結。ちなみに4連積連結については生成数は不一致。前章でも見たように共鳴は不連続で起こりうるという事例がここでも見出されたわけである。
最後に、これらの諸現象は他のハーフ&ハーフ円環らにもなしうることも述べておきたい。いや、ここまで下向き三角形同士を交換したハーフ&ハーフを用いていたが、下向きと上向き三角形を交換してみてもよいだろう。
二つ円環の所有三角形をこのように抜き取り、
このように嵌め込む。
すると、2連積連結において、
先にも見た同一の共鳴現象。3連積と5連積については正負をそろえるために連積のスタート地点に工夫が要されるが、
どうであろう。
いずれにおいても精確無比の共鳴。
他のハーフ&ハーフ円環においても、たしかめられたし。