この章では、気分転換という意味もこめて少し趣向を変えてみる。
まずはこの格子の配置をじっくり時間をかけて鑑賞してほしい。まっさきに気づくことは、この図の形状だけに着目したとき左右対称であるということ。「いや、それはそうだが、それがどうした」と眉をひそめられているかもしれない。
いったいこれはなにか?
たんにキレイにならべました、というだけの話ではない。
ここで、この格子配置図の正体を明かそう。
なんと二色に色分けされた格子数のグループは相愛数。しかも相愛力は、これまでで初出のレベル5。
一言。とてつもない等式である。この事実を知った上で、あらためてこの配置を見ると印象は大きく変わる。その対称の美に、あらためて目も心も奪われることになるだろう。
別のパターンも見ていただこう。
どうやら相愛数というものは、どこまでも対称性を好むようである。
さて、わたしたちこの種の配置図を、相愛数左右対称陣と呼ぶことにしよう。
そして、わたしたちはさらにルールを厳格に設定する。そう、〈1~n〉完全相愛数左右対称陣というものを定義したいのである。じつは、上記の2種の左右対称陣は完全性を欠いている。「完全性を欠いている」の意味は、用いられている1~nの数の範囲で不使用の数があるということである。
おわかりだろう。この左右対称陣では5と10が使用されていないことが判明。残念ではあるが、〈1~n〉完全相愛数左右対称陣の資格はこの時点で喪失することになる。
ちなみに、5と10を無理にでも入れたいからといって、こういうのはダメである。
当然ながらこのように5と10を組み込んでも相愛力は維持される。が、これは禁じ手。釣り合っている両天秤に同質量のものを加え、釣り合うことをあらためてたしかめる必要はない。異なる二つの相愛数グループで同一の数を共有できないというのもルールとして設定したい。
では、完全性を備えた左右対称陣などというものが存在するのだろうか?
これは〈1~n〉完全相愛数左右対称陣(L5)と呼ばれうるものだ。さて、ここで数の配置の仕方について。
〈1~12〉完全相愛数左右対称陣については、他にもこのような複数の配置パターンが考えられるが、ならべ方は左右対称が保たれていれば自由である。ぜひ、配置者の側で工夫をこらし、形状の美を競い合ってほしい。
参考までに〈1~n〉完全相愛数左右対称陣をあと二つ例示しておく。
●〈1~13〉完全相愛数左右対称陣
●〈1~15〉完全相愛数左右対称陣
さて、ここまですべて、相愛数の相愛力レベルは5であった。が、もしこれより強い相愛力で左右対称陣を構成できるのであれば、ぜひチャレンジしていただきたい。相愛力が高くなればなるほど、nの数は大きくある必要があり、それゆえ左右対称陣のビジュアルも壮観なものになるであろう。
最後に〈1~n〉完全相愛数左右対称陣の制作ルールをおさらいしておく。
- 〈1~n〉完全相愛数左右対称陣においては1~nまでの数のすべてを使用しなくてはならない。
- 異なる二つの相愛数グループ間で同一の数は共有できない。
- 数は左右対称に配置されれば、ならべ方は自由。