ここで、わたしたちが相手にしているのは、なんの変哲もない4×4の正方格子であることを、いま一ど、肝に命じておこう。この16個のマスを自然数で埋めていくと、以下のような相愛数が浮かびあがってくることをわたしたちはたしかめおえたばかりだ。
あまりにも完璧なもの、あまりにも謎めいたものを目にすると、それが唯一無二のものであるとわたしたちは思いこみたくなるかもしれない。あるいは、ここでは1から16までの数を特別な数として、なんらかの神秘性を与えてしまいたいような気にもかられる。無限に存在する自然数の中で、ここにならぶことができる数たちは、きっと特権を与えられているにちがいない、と。
そうなのだろうか?
けっしてそうではないことが、これを見るとあきらかになる。
超格子(4×4)において、わたしたちは、a にどのような数をおいてもかまわない。
あなたがたもお望みの数を入れてたしかめてみてほしい。超格子のもつ構造を体感することができるだろう。念のために申し上げておくが、いまここで述べているは相愛数だけでなく、相思数についてもいえることである。
連続した自然数で超格子のマス目を順次、埋めていく。数の配置をどのようにずらしてみたとこで、相愛数、相思数の定位置は変わらない。超格子は不変の構造を保ちつづける。いや、わたしはさらにいいたい。あなたがたが思っている以上に超格子は強力で寛大だ。
ここでは奇数の数列があつかわれている。もちろん、偶数の数列でもどうようのことが起こる。じつのところ超格子はあらゆる等差数列を受け入れる寛容さがある。相愛数を相愛数たらしめている力は、数そのものがもっているのではなく、超格子のもつ構造からよってきているのである。
これらの事実だけでも相愛数をめぐる壮大で重層的な光景が目に浮かんでくる。あらゆる数が相愛数になる資格があり、しかも等差数列の選び方によって無限の組み合わせを実現することができるのだ。
めまいを感じただろうか? いや、それでも相愛数の全体像の一角にも近づけてはいまい。以下の動画において何が起こっているか、しっかりと目撃してもらいたい。
超格子の力はわたしたちの予想をはるかに上回ってくる。人智を超えるという言葉は安易に使いたくはないが、この構造力の強靭さの根拠を明快に説明できる人間は少なくともこの星にはいまい。
敗北することなく、少しづつ、近づいていこう。
つぎにわたしたちは超格子が秘めている基本的な三つの力を考察することにする。